ハウスメーカーと建築家の家の違い
- 1.規格型住宅のメリットとデメリット
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ハウスメーカーは、寸法体系や工法などをあらかじめ規格の範囲で設計し施工する、規格型住宅を建てます。
規格化することによって、使用する部材を限定し、大量に生産または仕入れ・加工することで、大幅なコストダウンを図っています。
また、あらゆる部分が規格化されることにより、見積りや工期が効率よく短期間で可能となります。
しかし、規格化されているがゆえに、プランの自由度やデザインの自由度には限界があります。
まず、敷地にゆとりがある場合は気になりませんが、敷地全体を有効に使おうとするとその規格の範囲でしか対応できませんから、不整形な敷地や狭い敷地であるほど自由度が制限されます。
どのハウスメーカーも「自由設計」と謳っていますが、規格化されていますから「決められた範囲の自由設計」でしかありませんから、細微な部分の差異を誇張しても、最大公約数的な住宅になるのは仕方のないことです。
デザインでの差別化が図られませんから、ハウスメーカーは、「独自の耐震性能」や「効率的な熱環境」を誇張しますが、残念ながらこうした性能は建築家の家でも十分に確保することが可能な性能であり、特別コストパフォーマンスが優れているものでもありません。製品によっては、現実的には必要のない過剰な性能を求めていて、コストが掛かり過ぎている場合もあります。
性能とコストパフォーマンスについて、建て主が判断するのは困難ですが、建築家は建て主が客観的に判断出来るように助言します。
- 2.宣伝広告費とコストパフォーマンス
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ハウスメーカーの住宅は、大量に販売することを前提としています。大量に売るための宣伝広告費や販売促進費、住宅展示場でのモデルハウスの建設と維持管理、営業マンの人件費が、工事金額に大きく上乗せされています。
これらの費用は、建て主が支払う価格の3割を超えています。
ですから、生産原価が大変安価であるにもかかわらず、建て主が支払う価格は、安くありません。
さらに、使用している材料などから判断すると、建築家の家に比べるとコストパフォーマンスの悪い高価な買い物だといえます。
- 3.価格と価値観
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ハウスメーカーの住宅の場合、使用する材料の価格と、構造や性能の設備の価格が、建て主にとって価値観と一致します。
一方、建築家の家は、建て主の感覚とマッチすることが価値あることで、建材や設備の価格とは必ずしも一致しません。

